シンプルな味

今回は足もみではなく、食事に関する話題です。特別な情報はないかもしれませんが、些細な経験談が味覚障害の方やそのご家族に何か少しでもお役に立つ事があったらという気持ちで書いてみます。

白血病の治療で入院していた弟が放射線治療を終えて食べられない時期をある程度乗り越え、退院してから間もなくの頃のメモより。


味覚が徐々に戻ってきましたが、久しぶりに食事をするので、食べる量は少しずつからのチャレンジでした。ごはんは茶わんにひと口からスタート。退院してすぐの頃は家族と一緒の食事は出来ず、茹でたホウレンソウ、茹でたスナップえんどう、プチトマトなどはそのまま素材の味だけで食べることを好んだように記憶しています。


噛んだ時に何を食べてもザラザラする感じは減ったようですが、唾液がまだ少なくて食べにくそうな状態は続きます。食べられる物や量は日によって変動しました。


リンゴがおいしく感じた数日後、

リンゴが食べられなくなる。

コレは食べられるようになったではなく

「今日は食べられる」という感じでした。


こういった事前知識の有無で、料理を準備する家族側の心の持ち方が変わったりする事もあると当時思いました。また、第二の患者と言われる家族が出来る事のひとつに情報収集があると当時ピアカウンセリングの講演をされている先生がおっしゃっていました。過度な情報収集は心を辛くしてしまう事もあるのでほどほどの「丁度いい加減」が必要ではありますが、必要なタイミングに合わせて助言や励ましが出来るというメリットにも繋がる可能性も。


例えば病気の家族が「昨日は食べられたのに、今日は食べられなくなった」と落ち込む事があったら、同じような人がいたという経験談が「そうなんだ!」という救いになる事もあるかもしれません。先を急ぎ過ぎて先読みしすぎの心配やタイミングを無視した助言は不要ですが、「自分が相手にしてあげたい事」よりも、相手の状況も含めて考えて「誰のため?」「自分の気持ちを落ち着かせるためではない?」という確認を自分の心の中でしてみるのもいいと思うんです。